エンデュランスとは

エンデュランス馬術競技ってどんなスポーツ?

  1. 1. エンデュランス競技は馬のスピードとエンデュランス能力を試すものである。
  2. 2. 成功するためには、競技者は野外騎乗での馬のペース配分や適切な騎乗方法について熟知していなければならない。エンデュランス競技では如何なるウマ属の動物も「馬」と見なす。
  3. 3. 競技コースは数区間で構成され、各区間で個別に時間計測を行うことができる。 各区間は原則的に40km以内とし、それぞれの終点には強制休止を設けて、獣医によるインスペクションを行う。(騎馬マラソン競技の場合を除く。)距離は獣医委員長の承認を要する。160km競技では5ヶ所以上の獣医関門と最終インスペクション地点、或いは4ヶ所の獣医関門と強制速歩区間(トロット・バイ)を設けなければならない。
  4. 4. スタートの順序やルールに関わらず、各競技者には個別に競技の全コースをタイムレースとして走行する。
  5. 5. エンデュランス競技はタイムレースである。大まかに言えば最短時間でコース走行を終えた馬が第1位となる。競技は競技者自身が自由にペース配分を考えて、タイムレースとして走行できるよう準備しなければならない。しかしコースの状況やその他走行に悪影響を及ぼすと思われる理由により、組織委員会は技術代表と協議の上、区間の一部に最低タイム(速度制限)を設けることができる。速度制限区域は各区間ともに5km以内とし、このような速度制限区域はコース区間ごとに1ヶ所のみとする。(FEI第5版,第1章/競技 概要(第800条)より)

エンデュランス競技の重要性と課題
ウマのウェルフェアを基本においたエンデュランス競技の重要性と課題
日本馬術連盟
獣医委員長 青木 修

トレッキングやエンデュランスを含む長距離走行競技は、乗馬の原点である「ウマの長距離移動」を競技として体系化したウマスポーツの一つである。それだけに、競技会として実施される長距離走行競技には、ウマを用いるすべてのスポーツの基盤となる様々な要素が盛り込まれ、あらゆるウマスポーツの健全な発展には不可欠な基本的競技スタイルとして、国内での安定的な発展と普及が望まれる。

特に、高度な騎乗技術を要する他の馬術競技会では、その騎乗技術の向上にのみ関係者の耳目が向けられる傾向が強く、騎乗するウマの「生き物としての基本的な生理学」がやもすれば疎かにされがちであるが、獣医学的な検査を乗り越えてゴールを目指す長距離走行競技では、騎乗技術の有無よりも前に、まずは騎乗馬のコンディショニングやフィットネスの維持が勝つための絶対条件として設定されており、ウマを「生き物」として認識して初めて成功を収めることができる競技であるところに、その特異性があるといえる。

その一方で、競技である以上、時には勝敗を意識して、限界へ挑戦という人馬への無理も強いられることから、短時間のうちにスピードや高さ、華麗さを競う他の馬スポーツとは異なり、選手には競技中に大いなる克己心や自制心が求められる競技でもある。

ウマスポーツ憲章の精神に則り、競技馬のウェルフェアを維持、尊重することは、すべてのウマスポーツ関係者にとっての基本的な遵守事項である。

長距離走行競技は、その精神を最も反映させた競技としてルールが設定されていることから、この競技の普及は、乗馬愛好家にとって、ウマが生き物であることを学び、ウマのウェルフェアを基本においたホースマンシップを身に付けるための最も適切な競技スタイルである反面、初心者を含めて、比較的誰でも気軽に参加できることから、ウマと選手自らとが、勝負を焦る余り、結果的には危険性を認識しないまま、競技に臨み、本来の競技ポリシーとは裏腹に、過剰な負担が人馬にかかっている危険なケースも少なくない。

すべてのウマスポーツの基本となるべきこの競技の安定的な発展を期するためには、競技中の人為的な事故を極力未然に防止し、競技の安定性をアピールすることが大切である。特に普及ばかりに目を向けた安易な競技ルールの導入は、むしろ将来に大きな禍根を残すものとして避けるべきであり、安全性を第一義とした競技会実施内容の検討・整備こそが、本競技の創生期である現段階であるからこそ、何よりも優先されるべきであろうと思料される。